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研究概要。。 [学業]

今日は中間発表でした。前回のプロポを元により具体的にしてみました。これを元に先生とかにどんどん聞いていかないと。

【研究概要】
本稿は、第1に2004年から2005年にかけて国連改革に向けて作成された一連の報告書がグローバルガバナンス(以下、GG)の規範的アプローチの新たな形態を示すものであること、第2に「現在の国連改革議論が短期的な改革達成を目標としているために内容に偏りがあり、その他の重要な報告書を包括的に検討する必要性があるのではないか」という2つの問題認識に基づき、「GGの規範的アプローチ」という理論面と「国連改革」という実証面との融合的な検証を目指す。第1に、一連の報告書の分析から規範的アプローチの再構築を目指し、第2にその新たな規範的アプローチに基づいて、実証的に国連改革に対する批判的検討を行う。

【背景①GG論の整理】
今やGGは現在のグローバル化社会をどのように統治するかについての包括的な概念として一般的に定着している。しかし、その内容は曖昧であり固定化されてはいない。それは多様な分野・アクターを多様な側面から捉えるというGG論の特性によって、様々な扱い方が出来ることに起因していると思われる。大芝・山田はこの多様なGG論を3つのアプローチから捉えている 。一つが「リアリスト的分析アプローチ」であり、J・ローズノーとE・O・チェンピールの論集から始まり、H・ブルやM・ザッチャーなどがこれに続いた。彼らは主に国際社会におけるアナーキーを秩序付ける制度としてのGGに注目する。2つ目に「リベラリスト的分析アプローチ」であり、これは国際レジーム論を発展させる概念としてGGを提唱するアプローチでO・ヤングに代表されるアプローチである。そして、最後に「規範的アプローチ」であり、1995年に国連改革50周年を契機に有識者の集まりによって発表された「グローバルガバナンス委員会」の報告書に代表される。このアプローチは国連などの改革を実際に提唱することで、どのようにしたら最良のGGが達成できるのかという「実践性」や「市民性」「規範性」に目を向けていることが特徴であるとしている。本稿では中でも「規範的アプローチ」に注目する。

【背景②報告書と改革】
規範的アプローチに本稿が注目する理由は、2005年の国連創設60周年を迎えて、2004年から2005年にかけて国連改革に関する報告書が次々に提出されたことにある 。市民社会と国連との関係に重要な提案を行った「カルドーソ報告」、新たなる脅威に対する国連の役割強化を提案する「ハイレベル委員会報告」。ミレニアム開発目標の達成に向けた提案を行う「ミレニアム・プロジェクト報告」、そして最後に「ハイレベル委員会報告」、「ミレニアム・プロジェクト報告」の2つを土台として作られた「アナン事務総長報告」である 。これらの一連の報告書はGGの新たな規範的アプローチを示すものではないだろうか。内田孟男は「いかに資本と市場に牽引されているグローバリゼーションをより人間的に、より倫理的で公正なプロセスに導くかは、ガバナンス理論の核心であり、そのために必要な社会変革と機構改革も研究対象とする」としてGG論が改革論と成り得ることを示唆しており、また国連50周年を期に提出されたグローバルガバナンス委員会の報告書も同様に機構改革を提示した報告書としても知られている。規範的アプローチは機構改革の提案と一致する傾向が強いのである。

【研究目的・意義】
規範的アプローチは機構改革の提案
と一致する傾向が強いながらも、現在の国連改革に対する報告書形式の提言はGG論が出現する以前から継続されたものであり、GG論と必ずしも一致して展開されてきたわけではない。そのため、本稿では第1に規範的アプローチの特徴を定式化するために、グローバルガバナンス委員会報告書をそれ以前の報告書と比較し、規範的アプローチの特徴を抽出し、今日の一連の報告書が単なる機構改革提案なのか、GG論の規範的アプローチであるのかを求める(目的1)。
現在の国連改革の議論は中でも「ハイレベル委員会報告」「アナン報告」をきっかけに、安保理改革の主として行われているのが現状であり、それゆえの批判も多い 。そこで本稿では第2にGG論の規範的アプローチという視点から現在行われている国連改革に対する批判的な評価を行う(目的2)。
これらによって、グローバルガバナンス委員会による規範的アプローチと国連改革議論との相違を明確化がなされること、および現在行われている国連改革を規範的アプローチと国連改革議論の2つの流れから検討することで、新たな視点から評価することができる意義があると考える(意義)。

研究手法
1. 「時系列的叙述」と「報告書内容比較」により、GG委員会報告書とそれ以前の国連改革報告書とを比較し、GG論の規範的アプローチの特徴を抽出し、GG委員会報告書と現在の報告書の相互比較により、相違・共通点を抽出する。
2. 「国連におけるグローバリゼーションの議論と認識」及び「GG委員会から現在に至るまでの改革議論の流れ」を相互関連的に時系列的叙述によって表し、現在の報告書が改革議論とGG論からどのように影響されているのかを抽出し、現在の「改革関連報告書」がGG論の規範的アプローチと成り得るのかを検討する。
3. ハイレベル委員会報告とアナン報告書を中心とした改革提案に対する有識者による批判をまとめ、その問題点を一般化する。
4. 「改革関連報告書」と「GG論の規範的アプローチ」の特徴から、「3」の一般的な批判に対する検討と、報告書自体に対する検討を行い。現在の改革議論に対する批判的評価をする。

章立て                                         
第1章:規範的アプローチの特徴と国連改革
 第1節:国連改革の議論の系譜
 第2節:グローバルガバナンス委員会報告書
  第1項:報告書の概要
  第2項:これまでの報告書との相違
  第3項:規範的アプローチの特徴
  第4項:報告書と改革議論の展開
第2章:現在の国連改革と報告書
 第1節:改革議論の始まり
 第2節:報告書概要
  第2項:ガルドーソ報告書の概要
  第3項:ハイレベル委員会報告書の概要
  第4項:ミレニアム・プロジェクト報告書の概要
  第5項:アナン事務総長報告書の概要
 第3節:グローバルガバナンス委員会報告書との比較
第3章:国連におけるグローバリゼーション
 第1節:国連でのグローバリゼーションの議論
  第1項:総会での議論
  第2項:事務総長・報告書の概要
 第2項:1995年以降の国連改革議論
 第3項:改革議論とグローバリゼーション議論との融合
第4章:国連改革の批判的検討
 第1節:国連改革議論に対する批判
 第2節:改革報告書以外の報告書の検討
  第1項:サザランド報告
  第2項:Governing globalization
  第3項:A fair globalization
  第4項:改革における位置づけ
 終結:国連改革の再検討


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コメント 1

伊織ちゃん

規範的アプローチの概念整理してから4章の章立てしたほうがいいと思います。それから、規範的アプローチを通した視点(価値観)での改革批判に対する批判をし、更に改革議論への批判をするんでしたら、どのようにやるか書いてないので、聞かないとわかんなかったです。
あとは、15枚でまとまる気がしないということだけですね。しかも香川先生は12ptからしか読めません。
by 伊織ちゃん (2005-06-21 00:07) 

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