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日本国際連合学会報告1 [学業]

2005年5月28日
国際連合大学において日本国際連合学会第7回研究大会が行われた。その内容について簡単にまとめる。

第1セッション「ハイレベル委員会報告書と事務総長報告書の批判的検討」
座長:津田塾大学教授 大泉敬子

報告1:「ハイレベル委員会報告書の批判的検討」 京都大学名誉教授 香西 茂

始めに、安保理改革のA案とB案を持ち出し、現在の議論を活性化させたことで有名なハイレベル委員会報告書に関して京都大学の香西教授よる発表があった。この報告書と批判的検討としてハイレベル委員会報告書とアナン報告書は重なる部分があるため、教授はアナン報告書の部分に関しては後の内田教授にまかせるとした。以下は簡単に内容をまとめる。

Ⅰ.「集団的安全保障」の概念:その拡大と限界(報告書パート1)
この報告書のメインテーマは「集団的安全保障」である。そしてその、話題の中心は安保理改革となっている。そして、その集団的安全保障の概念自体が拡大と限界を内包しており、報告書の集団的安全保障は所謂狭義の連盟から受け継がれたそれだけではなく、広義の概念を用いていることが特徴である。集団的安全保障という言葉は同じであっても概念部分(どういう集団的安全保障で、どういう対処なのか)は変わっているということだ。つまり、テロや貧困は相互関連的であり、総括的な対応が必要であるということだ。報告書では以下の3点を述べている。第1に紛争解決メカニズム(PKOなど)と集団的安全保障体制をどう関連付けるのかの重要性、第2に非国家主体の役割の増大として人間の安全保障やテロなど、第3に脅威の多様化であり、経済社会分野と集団的安全保障との不可分性が挙げられ、報告書では「開発」「人権」「広義の集団的安全保障」を関連付けている。しかしながら、こうした多様な側面からの集団的安全保障の捉え方は、本来の意味とかけ離れたものであり、焦点がぼやけてしまうのではないかと先生は述べられた。

Ⅱ.集団的安全保障と防止措置(報告書パート2)
ここにおいては、まず6つ領域に区分されており、先生は最後の「制裁の役割」以外の5点について述べられた。
1.貧困・伝染病・環境破壊
報告書では、まずこの3つの要因を筆頭に上げていることが特徴である。こうした安全保障の根源的な問題に対処する必要性を強調しているのではということだ。これに対して先生は既存の人間の安全保障で対応できるのでは?とし、これまでの域を出ていないし、あくまでも間接的な要因でしかないとして、狭義としては直接的に脅威に対処するはずの集団的安全保障概念としてこれを扱うことへの疑問を呈した。そして、この項目がアナン報告書でははずされていると述べる。

2.国家間紛争と国内紛争
この内容としては紛争予防からICCへの付託、通常兵器の国連登録制度の活用、事実上の大量破壊兵器である小火器への対処、地雷問題、天然資源まで広範に扱われている。そして、国連の紛争解決メカニズムは「War(制裁)」と「 word(勧告)」の間の措置であるとし、制裁は実質的な効果が期待できるが、一般市民に影響を与えるため人道的考慮が必要であるとしている。また、PKOは制度として定着しているが、安保理の授権方式の強制行動は制度的に定着していないとする。これらに関しては先生の特質すべきコメントはなかったと思われる。

3.大量破壊兵器
この問題としては、テロにわたる脅威が最大の脅威であるとし、さらにNPTの差別的な性格を問題であるとしている。そして、非核保有国にはウラン濃縮や再処理施設の停止を期限付きで行うべきであるという提案や、核保有国には第6条に基づいた軍縮行動や、消極的安全保障を確約するべきであるとしている。そして安保理に対しては、核攻撃が行われた際に笑代的行動をとるとする制約をおこなうべきだとしている。これに対しては先生は、核が使われたという状況で一体、どういった行動をとるのか、とれるのかという点に疑問を感じると述べる。

4.5.テロリズム、国際的組織犯罪
最後にテロと国際犯罪をまとめて述べる。その内容としては、総合的で戦略的であること、警察行動などの治安から、情報、資金面、法的側面、根本の原因究明まで扱っている。法的側面としては、12テロ条約に加えて、さらに包括的な条約を作る必要性を報告書は提案する。その理由はばらばらの条約があるだけでは抑止効果に欠くということである。先生はこれに対して、テロの定義が成立していないこと、これは国家によるテロを含めるのか、征服や圧制に対するレジスタンス行為もテロに含まれるのかで対立があることを述べ、これが妨げているとする。そして報告書としても意欲的な定義を行っており、アナン報告書をこれを賞賛している。しかしながら、先生はこの定義が良いものであるとしながらも国家テロを棚上げし、レジスタンスの問題も回避しているとして、テロの定義を導くことができるのか疑問とした。

Ⅲ.集団的安全保障と武力行使(報告書パート3)
ここに関しては自衛権について主に扱った。
1:武力行使の「合法性」の問題
報告書はまず、「国外からの脅威」として第51条の自衛権の解釈に触れる。以下の2種類に概念わけを行った。第1に「pre-emptive use of forse」として、危機が差し迫っており他に手段がない場合は自衛権が認められるとしている。第2に「 preventive use of force」として危機があるかもしれないとするアメリカ的な予防行動であるが、これは認められないとする。こうした行動には安保理の判断が必要であるとした。これらの自衛権の解釈に関して、先生は、第1に自衛権を狭く解釈しすぎであり、テロなどの問題に対処できないとして、より広く解釈するべき問題や、第2に迫っているときは自衛権が認められるとする考えは、国際法上は認められないし、切迫した状況があいまいでわからなと延べ、アメリカの解釈を認めるような背景があるのではと述べる。その上で、自衛権の行使とは後から国際社会によって判断されるものだとして、イスラエルがイランやエジプトに先制攻撃した際に自衛権を理由にあげた例をあげ、それが国際的批判を受けたとことを述べる。

次に「国内からの脅威」として「人道的介入権」に関して「介入と国家主権に関する国際委員会(ICISS)が2001年に作成した報告書「保護する責任」の結論を導入している。これをアナン報告書も評価しているが、小国は反対するだろうと先生は説明し、保護する8責任も安保理に基づくものになるとする。

3.武力行使の「正当性」については、報告書は安保理決議の「正統性」のための5つの基準を上げている。1.脅威の重大性 2.正当な目的 3最後の手段 4手段の均衡性 5.成功の見込み
これらが安保理に関してだけであり、総会の役割に触れていないことを先生は問題視し、かつての中間委員会の設置などが考えられても良かったと述べる。

最後に、安保理改革に関して述べるが、先生は概ね報告書の内容に賛成であり、アナン報告書もほとんどそのまま採用しているとする。しかしながら、アナン報告書においては統一概念としての集団的安全保障を採用していないのである。

以上が発表の概要である、これらはあくまで私的にまとめたものであるため正確ではない可能性もある。個人的には聞いていて思ったより分かりやすいまとめ方ではなかったと思う。


日本国際連合学会へ♪ [学業]

昨日の土曜日、早慶戦の後の飲み会に一人スーツで参加しました。
なぜかというと、俺は昼間は早慶戦を見てるのではなくて、国連大学
にいっていたからです。飲み会に行ったのはたまたま渋谷で同じだった
からだけです(笑)今日は日本国際連合学会の第7回研究大会の日
だったのです。

当日は朝起きると、8時すぎていて10時からだったのでシャワーもあびずに
即家を出て、国連大学へ。2階の受付に行くと受付の顔に見覚えがありました。
くにけんのまるでした。。ちょっと恥ずかしかった(笑)。

出席は適当に紙に名前書いたら、入れました。事前にファックス申し込み
していたんだけど、別に当日に名前書くだけで入れたっぽい。セキュリティ
あまい。席も楕円になってるメインの場所以外は適当に座れるし、思ったより
人が少ないからすいてました。とりあえず明石康先生の後ろ側に陣取る。

肝心のスタートですが、10時になっても参加者が全員集まらず、なかなか
ルーズな感じでした。10時5分~10分くらいが始まりだった気がする。
出席者は学生も少し居たけど、ほとんどが教授みたいな人たちばっかりで
なかなか空気になじめませんでした。

となりに座ってるおっちゃんとかの名前見ると、どっかの論文で見たことある
名前だったり、前座ってるおばさんの名前見ると、庄司真理子っていう、全日
前によく参考にした論文の筆者だったり、エレベーターで待ってると、横に居た
おっちゃんが横田洋三だったり、明石さんと握手してみたり(笑)。論文や本で
普段お世話になっている方ばっかり。。。ただただ恐縮です。

最後にレセプションがあって、当初は参加するつもりだったんですが、学生が
ほぼいないなか、こんな大先生の中にまじって参加する勇気がもてず、
早慶戦の飲みに参加することになったのが経緯でした。。。
今度行くときはレセプションにも行ける様になりたい。。。

PS.研究大会の内容は後ほどUP予定。


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